Global English 15 ーandの前後の修飾関係を明確に!その1ー

"average ages and salaries"と書いてあった場合、averageがagesだけを修飾しているのか、salariesも修飾しているのかが不明瞭である。文意から明確であるときは当然あるが、その文書の分野に詳しくない人が読むことも想定して明瞭になるような書き方を工夫…

NASAのテクニカルライティング 13 ータイトルの大文字小文字ー

NASAラングレー編集部門の表題における大文字使用のルールは"Style Manual"(著:Government Printing Office, U.S.、1984年)に基づいており、以下に示す大文字使用の10のルールに従っている。 冠詞、前置詞あるいは副詞、接続詞には大文字を使用しない。と…

Global English 14 ー形容詞句が何を修飾しているかを明確にー

[bad] Click Overview to view short descriptions of the products that include information links. "that include information links"が、descriptionsとproductsのどちらを修飾しているのかが分からない。 [good] Click Overview to view short descript…

NASAのテクニカルライティング 12 ーthere is構文とit ... that構文は避けましょうー

NASAのテクニカルライティングのガイドラインによると、there is構文は冗長で具体的になにを指すのか曖昧なので避けるべきとのこと。 [bad] There are three distinct flow characteristics in these photographs. [good] These photographs shows three dis…

Global English 13 ー前置詞句が名詞を修飾するときは要注意ー

以下の例では、in the SPSS fileが何を修飾しているのかが分からない。直前のdataという名詞を修飾しているのであれば、関係詞を使った形容詞句にしてしまう。ただ、この場合は、of the SPSS fileとする方が簡単でよい。 [bad] The PRINT statement prints t…

NASAのテクニカルライティング 11 ー動名詞や不定詞の主語に要注意ー

以下の文はいずれも、『位置調整されていないピトー管を使うと、渦成分により全速度を正しく測定できない。』という意味ですが、動名詞usingの使い方が正しいものと間違っているものがある。『導入動名詞句や導入不定詞句の主語は、主文の主語である』ことに…

Global English 12 ー否定文は使うなー

肯定文でも否定文でもどちらでも書けるのであれば、肯定文で書きましょう。 [bad] Add a statement to the program to specify that messages not be displayed. [good] Add a statement to the program to suppress messages. 二重否定文には注意しましょう…

NASAのテクニカルライティング 10 ー等位接続詞 and, butの正しい使い方ー

等位接続詞は文法的に等位なものを結合する。 [bad] Pressures at the bulkhead, the seal, and in the cove are shown. [good] Pressure at the bulkhead, at the seal, and in the cove are shown. 修正した文では、一貫して前置詞句を結合している。 同様…

Global English 11 ーmustは使うなー

mustは「〜しなければならない」という解釈と「〜に違いない」という解釈ができる。テクニカルライティングにおいて、後者の意味でmustを使うことはほとんどないが、2通りの解釈を生む(誤解の源となる)mustを使う必要性は全くない。 [bad] If you are acc…

NASAのテクニカルライティング 09 ーパラレリズムー

[bad] Shock tests were conducted in nitrogen and oxygen. この文はパラレリズムに反しているので曖昧な文になっている。 解釈1:窒素雰囲気および酸素雰囲気で実施した。 解釈2:窒素と酸素の混合気体中で実施した。 解釈1の文にするには、パラレリズ…

Global English 10 ー不明瞭な「have+名詞+過去分詞」ー

「have + 名詞 + 過去分詞」とくると、「使役動詞の用法」なのか「過去分詞で修飾された名詞を持っている(haveしている)」のかがパッと見で分からない。この形の場合は、ちゃんと読めば意味が不明瞭であることは少ないが、たいていの場合はもっとシンプル…

NASAのテクニカルライティング 08 ー分離不定詞ー

分離不定詞:To不定詞で、toと動詞の間に副詞を入れること 正式な文書において分離不定詞は通常禁止されているが、NASAでは曖昧さを避けるために分離不定詞の使用を認めている。 [bad] He agreed immediately to recalibrate the surface pressure instrumen…

Global English 09 ー不明瞭な「have + 過去分詞 + 名詞句」ー

「have + 過去分詞 + 名詞句」とくると、「完了形+目的語」なのか「過去分詞で修飾された名詞句を持っている(haveしている)」のかが分からない。 [bad] Each column has assigned attributes such as name, type, and length. 解釈1:各列は、名前・型・…

NASAのテクニカルライティング 07 ー数と測定単位で修飾しないー

「3度の迎え角」と言いたい時 [bad] 3-degree angle of attack [good] angle of attack of 3 degree 「高度15 000フィート」と言いたい時 [bad] 15 000-ft altitude [good] altitude of 15 000 ft.

NASAのテクニカルライティング 06 ー複合修飾語はなるべく避けるー

複数の名詞・形容詞を連ねた名詞句は、日本語でも英語でも分かりづらい。ハイフンをつけることで、意味の塊を明確にすることができる場合があるが、まずすべきことは複合修飾語を前置詞句に変更することである。 [bad] the annular suspension and pointing …

ノーベル賞・ジェンダー・科学者・ムスリム

BBCの2021年10月12日の記事に、『ノーベル賞に「ジェンダーや民族の割り当て作らない」=スウェーデン王立科学アカデミー』というタイトルの記事が載っていた。2021年のノーベル賞の女性受賞者が、平和賞のマリア・レッサ氏のみだった。ノーベル賞受賞者には…

NASAのテクニカルライティング 05 ー冠詞と等位形容詞ー

「大きくて赤い橋」は、冠詞は無視すると"big and red bridge"となる。このbigとredは等位形容詞と呼ばれる。今回は、この等位形容詞に対して、どのように冠詞を付けるかという話。 等位形容詞が同じものを修飾している場合 冒頭のbigとredは、同一の橋につ…

Global English 08 ーあいまいなappear to doー

appearには「見えるようになる(視認できるようになる)」という意味があるが、appear to doはseem to doという解釈もできるので、文意が不明瞭になりえる。そこで、「視認できるようになる」という意味で使う時は、appearのあとにto doは持ってこないように…

Global English 07 ーあいまいなrequire to doー

'require to do'は得てして不明瞭になりやすいので、基本使わないようにするのがよい。 例えば、次の文を見てみよう。 Two technicians are required to perform maintenance of fuser assemblies. 【解釈1】何人か技術者がいて、そのうちの二人がメンテナ…

Global English 06 ーあいまいなbased onー

'based on'を修飾語として使う場合は、意味が曖昧になるので要注意。 副詞句として使っている場合 'based on'を副詞句として使う場合、得てして意味不明となる。 [bad]The intersection was built and designed based on all the required standards. これは…

NASAのテクニカルライティング 04ー集合的主語ー

集合的主語は、そのグループが一つの単位であると考えられる場合は単数として扱われ、そのグループの構成が個々であると考えられる場合は複数形として扱われる。 Langley's research staff is well-known for its achievements in aeronautics. 主語の「ラン…

NASAのテクニカルライティング 03 ー時制の一致ー

主動詞が現在形(あるいは未来形)である場合 主動詞が現在形(あるいは未来形)である場合、従属動詞はいずれの時制もとれる。 The data indicate that lift increases with angle of attack up to 35 degrees. (従属節は解説) The data indicate that th…

NASAのテクニカルライティング 02 ー時制ー

論文・レポートにおける動詞の時制は、Buehlerらによる「論説の4要素」から理解できる。 解説(物事がどのようにして、なぜ起こるかを説明する)→現在形 叙述(何が起こったかを述べる)→過去形 描写(図表によりイメージを与える)→現在形 論拠(理由を挙げ…

NASAのテクニカルライティング 01

NASAが技術文書の作成・編集のためのハンドブックを1998年に公開している。"Grammar, Punctuation, and Capitalization: A Handbook for Technical Writers and Editers"というタイトルでここからダウンロードできる。ちなみに、この図書の文書番号はNASA SP…

問題は日本語じゃない、あなただ

日本語は論理的でないという議論があった。今の若者はどう思っているのか分からないが、昔は欧米に対する劣等感がそうさせたのか日本語が論理的でないと本気で思っている人たちがいた。明治の頃は、森有礼が日本語廃止論・英語採用論を議論していた。日本の…

Global English 05ー長い名詞句はNGー

平屋(1階建ての家)だったらthe one-story buildingとなる。この「複数の名詞が連なった句」が名詞句。名詞句は3ワード以下にした方が良い。著者曰く、2ワードや3ワードでも曖昧になることがあるという。本項では、長い名詞句を見つけた時の対処法をいく…

Global English 04ーそのwill必要?ー

未来のことを表すのに当然willを使う必要があるが、現在形でも文意が損なわれないことが良くある。そういう時はwillを省く。 [bad] When you develop your application, test different values to determine which values will result in the best performan…

Global English 03ー重要な動作は動詞で表すー

その文で一番重要な動作(action)は、名詞では無くて動詞で伝えましょうという話。「合意に達した(reach an agreement)」とか書かないで、単に「合意した(agree)」と書きましょうということ。 [bad] A spawner program enables the encryption of user …

Global English 02ー1文は20単語まで。概念を説明するときは25単語までー

タイトルにある通り。以下の二つの例は、タイトルの通りに修正したもの。1文が短い方が読みやすいと感じるはずだ。 例1 [bad] If Chocolate Bits is set to No, indicating that there are no chocolate bits in the sample batch of ice cream, then the s…

Global English 01ーはじめにー

SASという統計解析などのソフトウェア会社が、"The Global English Style Guide: Writing Clear, Translatable Documentation for a Global Market" (著者 John R. Kohl、ISNB: 978-1-59994-657-3)という本を出版している。 「なんでソフトウェア会社が英語…