大気圏突入時の熱流束を知りたいー1. はじめにー

とあるキッカケで大気圏突入時の宇宙船への入熱を調べたので、何回かに分けてblogに記録を残す。

宇宙船への熱の出入りは、influxとしては「大気との熱伝達」と「大気からの輻射熱」があって、outfluxとしては「宇宙船からの輻射熱」と「宇宙船表面の蒸発」(最近のは蒸発しないかも・・・)がある。「大気からの輻射熱」というのは、宇宙船によって断熱圧縮された高温の大気からの輻射熱だ。これら4つの熱束のバランスで最終的な入熱がきまるが、大気との熱伝達については1950年代くらいから研究があっていろいろなモデルがあるようなので、少し調べてみた。

Thermal & Fluids Analysis Workshop 2012のAerothermodynamics Courseというトークのスライドが参考になった。このトークの趣旨は、「今はシミュレーションでいろいろ計算できるが、その結果を鵜呑みにしてはだめ。シミュレーションの妥当性を確認するために、(いろいろな仮定は入っているが)理論的なアプローチで得られるモデルと比較することが大事なので、そういったモデルを勉強しましょう」というものだ。

それで、一番簡単な「blunt bodyが落下してくる時の、大気との熱伝達を評価する方法」をまとめることにした。blunt bodyというのは日本語にすると鈍頭(どんとう)物体とか言うようだが、Appolloの宇宙船カプセルみたいなやつだ。本当はスペースシャトルが落下してくるときのEquilibrium Glideモデルを知りたかったが、そこまで調査しきれなかった。

大気との熱伝達を評価するモデルは色々あるようだが、簡便な方法で評価するため、以下の3つのモデルを把握すればよい。それぞれのモデルについて、blog記事を分けて書いていくことにする。

  • 成層圏とかでの)大気の密度モデル(link
  • 落下してくる宇宙船の運動モデル(link
  • 大気の密度と宇宙船の速度とをインプットパラメータとした熱伝達モデル(link

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