4. 同一語の重複をなくせ by カズオ・イシグロの父
「テクニカルライティング by カズオ・イシグロの父 - imakov’s blog」で紹介した石黒鎮雄著『日本語からはじめる科学・技術英文の書き方』(ISBN 4-621-04016-2)では、重複に敏感でない著者が以外に多いことが指摘されている。以下に、実際に学術誌で発表されている論文の例と、それを石黒鎮雄が改めた文とを記載する。
- 【例1】光源には白色光源を用いた。
- 【改1】用いた光源は白色である。
- 【例3】処理は、処理1〜6の処理を含む。処理1〜5までを、標本の3種類の各幅について行って標本ベクトルを得た後、処理6でこれらを統合する。
- 【改3】処理は6段階に分かれ、1〜5で3種の幅の標本ベクトルを得て、6でこれらを統合する。
- 【例4】Kが大きいと効果が増加する理由として、(a)・・・、(b)・・・の二つの理由が考えられる。
- 【改4】Kが大きいと効果が増すが、二つの理由が考えられる。(a)・・・、(b)・・・
imakov的には「が」で文を繋ぎたくないので、この文は「Kが大きいと効果が増加する理由は二つ考えられる。(a)・・・、(b)・・・。」としたい。
- 【例5】人は物の色彩を表現する際、その物体本来の色彩で表現する。
- 【改5】人は物の色彩を、その物体本来の色で表現する。
- 【例6】Xは振動の負荷という点から重要な要素であるが、これは板の振動特性によって生じるものであるから板の特性を知る上でも非常に重要である。
- 【改6】板の振動特性によって決まるXは、振動の負荷としてのみでなく、板の特性を知る上にも非常に重要である。