Natureの民間核融合企業の記事について(vol. 599, 18 Nov 2021)

Natureに、民間の核融合企業の記事が掲載された。

www.nature.com

本blogでNatureの記事を細かく説明するつもりはないので、「全くの専門外だけどnatureの記事が気になる」っていう人はGIGAZINEの記事を見てください。(https://gigazine.net/news/20211126-chase-for-fusion-energy/)。

核融合ベンチャー企業のニュースがよく出ますが、これは核融合技術が成熟してきたからではなくて、ただの投資ブームなんです。例えば、暗号通貨の価値がどんどん上がっていますが、これは「暗号通貨で実際に決算ができそうだ」とか「〇〇という人類の課題が、暗号通貨によって解決されるので、これからどんどんみんなが暗号通貨を利用するぞ」とかいう機運が高まっているからではなくて、ただ単に流行っているというだけですよね。

こういうのは良くありますよね。例えばJ-POP歌手でもJAZZ奏者でもCLASSIC奏者でも何でもよいのですが、才能があるから流行るという構図ではなくて、何らかのきっかけで注目をあびだすと、どんどん注目が集まって最終的に絶対的な地位を確立します。

それと一緒で、投資家たちの間で次世代エネルギーに投資することがすごく流行っているらしいです。「ベンチャー企業核融合技術がすごいから投資家から資金を集められている」というのではなくて、グリーンとかエコとかそういうようなものへの巨額の投資マネーが流れている中で、核融合業界にもそのマネーが来ているということなのです。もちろん、昨今の異常気象とか肌で感じてグリーンエネルギーが重要だというのはあるのでしょうが、現状の投資マネーの集まり方は実態と合っていないただの流行りだと思います。

色んな核融合ベンチャーの特徴は今度blogに書いてみますかね。それはおいおいやるとして、natureの記事については以下のことを思いました。

  • SpaceX moment for fusion(宇宙業界はSpaceXを代表とする民間開発が活発であるように、核融合業界でも民間開発が活発化し始めている)とか言っているが、宇宙と核融合は全然違うと思う。宇宙は、技術的に確立していて最近ではロケットの打ち上げ失敗のニュースはとんと聞かない。核融合はそもそも技術的に確立していない。
  • 「中国・韓国・欧州がITERの延長線上にある核融合原型炉を計画している」と書いてあるが、日本がスルーされている。。。欧州程ではないが、韓国以上には日本の原型炉の研究開発が進んでいるのに、日本のことが書かれないというのは本当に日本は外部発信が下手なんでしょうね。韓国はパク・クネ大統領の時に「原型炉に力を入れる!」とか宣言して、一瞬核融合業界の予算が上がったけど、今では全然原型炉の話を韓国から聞かないです。そんな韓国でさえ、nature記事で言及されているというのに日本ときたら。。。
  • mini-tokamakと書いて、(Tokamak energy社の)球状トカマクと(Commonwealth Fusion System社の)トカマクを一緒にまとめるのは完全にミスリーディング。